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南房総市と本学関研究室、産学協働で観光プロモーションに挑戦 ~「 なめろう」と「音旅トレカ」で地域の魅力を発信 ~

「なめろうの楽しみ方の提案」

社会システム科学部プロジェクトマネジメント学科の関研一教授と、関研究室4年の長尾怜緒さん、高橋玲さんが南房総市の「産学協働地域活力創造事業」(令和6年度)で、「なめろうの楽しみ方の提案」プロジェクトに取り組みました。

南房総発祥のご当地グルメ「なめろう」の魅力を一層引き出す新たな観光プロモーションに役立つと期待されています。
千葉県に古くから伝わる「なめろう」は、南房総一帯で獲れるアジなどの魚に味噌やねぎ、生姜のみじん切りを混ぜ、細かくたたいて食す郷土料理。ご当地グルメとしては鮑や伊勢海老が有名であるものの、長尾さんは「南房総の観光サイトでは『なめろう』を積極的にPRしている一方で、グルメサイトのランキングにはほとんど登場していないギャップを埋め、もっと世の中に魅力を広めることができれば観光客増加につながるのではないか」と考えたと言います。
一般的に食べ慣れない観光客には敷居が高いとされる「たたき料理」。長尾さんと高橋さんは「なめろう」の味覚を深く分析することで、興味を持ってもらえるきっかけになると考えました。2024年6月から7カ月にわたって現地調査や官能評価試験、味覚センサーを用いた物理実験などを行い、「なめろう」の特徴を客観的に評価。アンケート調査では食べる前後の見た目や味覚の印象を確認し,食後の方が評価は向上する結果を得ました。

また、4種類の「なめろう」に対する官能評価試験のアンケート結果を因子分析したところ、なめろうの味覚は潜在的な3つの因子(コク・旨味・塩味因子)で説明可能であることがわかり、テクスチャ(食感)の分析では、肉粒感と硬さに関連性が認められることなどを突き止めました。高橋さんは「『なめろう』は地域特有の料理で食文化や風土が凝縮された唯一無二の存在。他地域の『なめろう』と食べ比べ、地元の味が別格であることを実感しました。おいしさの数値化という手段を用い、観光客が食べてみたいと思えるきっかけを作りたいと考えました」と振り返ります。

2人は関教授や大学、南房総市の支えを得ながら全国から5種類の「なめろう」を取り寄せ、コク因子と塩味因子で大きな違いがあることがわかりました。実際に南房総市内の店舗をめぐり、その特徴を店ごとに紹介する「なめろうマップ」の作成を提案。自分の味覚に合った一品を選ぶ観光プロモーションに役立つものと期待されています。関教授は「二人が取り組みたい、と提案してきた町おこしテーマ。学生自身の発案なのでモチベーションも高く、官能評価試験を研究室のすべての学生や学科内の有志メンバーも含めて行うことになり、思い出深い卒研となりました」と評価しています。また、「二年目の最終フェーズでは、学科内の松田先生から紹介して頂いた兵庫県稲美町での食を活用した町おこしの事例や、関研三年生、朴さんの絶妙ななめろうイラストも活用して、南房総市への提案をまとめていました」とのこと、市役所の方々とともに、様々なメンバーが連携したプロジェクトとなりました。

「観光促進のための立体音響の導入」

南房総市の「産学協働地域活力創造事業」(令和6年度)で、社会システム科学部プロジェクトマネジメント学科の関研一教授と、関研究室の片向史一さん(4年、リーダー)らが「観光促進のための立体音響の導入」プロジェクトに取り組みました。

観光スポットで立体音響技術を用いて自然音を録音し、没入感のある南房総の自然音を歴史・風土の情報と共に「音旅トレカ」として観光プロモーションに活用することを考案。6月21、22日開催された国内最大規模のオーディオ技術の祭典「OTOTEN2025」(東京・千代田区)には南房総市と本学が共同出展し、「音旅トレカ」を配布しました。音と観光資源をつなげる新たなプロモーションとして注目されています。

片向さんは、サウンドスケープ(音の風景)の視点から海と山に囲まれた南房総の「音」の価値に着目。その理由は「思わず耳を傾けてずっと聴いていたくなるような鳥のさえずり、風の音、さざ波、滝の音といった様々な音に魅力を感じました」(片向さん)と言います。
2次元のサウンドマップによる記録に代わり、その場にいるような感覚を届けるためにアンビソニックスマイクを用いて全方位の環境音を録音しました。収録した音源はバイノーラル音源とステレオ音源に変換し、被験者に聴取させる実験を実施。心理的・生理的反応を計測し、分析結果を南房総市と共有しました。観光促進に「音」を活用する新たな試みとして、音源をトレーディングカード(トレカ)化し、所有感を持たせることで地域の魅力を身近に感じられる仕組みも導入しました。
週末に南房総に通い、収音を重ねるメンバーに同行した関教授は「音響環境のみではなく、歴史や地形など様々な視点から事前に十分調査するよう話をしてきました。この活動で南房総市の観光資源の価値を再確認しました」と振り返ります。

6月21、22日には日本オーディオ協会主催の「OTOTEN2025」に共同出展し、実際に「音旅トレカ」3000枚を配布することで自然音を活用した新たな観光プロモーションとなりました。「南房総市と本学の活動が結び付いた、わかりやすいアクションで双方の信頼感も高くなったと感じました」(関教授)と言います。
立体音響に関する理解を深めるために専門のエンジニアが開催するイベントに参加したり、Web3.0関連のイベントに足を運んで情報収集をしたりしてきた片向さん。「技術的にも実践的にも多くの学びと努力を要しました」。これまでの視覚中心の観光PRに「音」を通じた体験型アプローチを加えたことは、観光プロモーションに役立つ手法と期待されています。